About
X線光学技術の開発と応用
X線自由電子レーザーや大型放射光施設、高次高調波発生などの光源の高度化に触発された、近年のX線分析技術の発展には著しいものがあります。例えば新たな薬の開発において、X線によるタンパク質の立体構造解析は欠かせないものになっていますし、材料やデバイスの開発でも、原子・電子状態に関する新たな知見をもたらし続けています。こうした分野を問わない先端X線分析技術の発展には、光源性能の向上に加え、分析を支えるX線光学技術の高度化が大きく寄与してきたことには疑いがありません。
本研究室では、SPring-8やSACLAといった先端X線光源と、超精密加工・計測技術を活用したX線光学システムを融合させ、X線分析技術の持つ可能性の限界を突き詰めた新たな基盤計測手法を開拓することを目指してます。
現在の具体的な研究内容としては、
○超精密加工・計測技術の開発
○X線光学システムの構築
○X線顕微イメージングの応用
を三本柱に、スタッフ・学生ともに活動を行っています。
超精密加工・計測技術の開発
X線の波長はおよそ10 nm~0.01 nmと、可視光の波長(700 nm ~ 400 nm)と比較して非常に短く、それだけ光学素子に求められる精度が高くなります。
新たな超精密X線光学素子の考案・設計から、電子ビームリソグラフィなどの半導体製造プロセスを応用しての作製まで、企業とも連携しながら独自のX線光学素子作製技術を開発しています。
X線光学システムの構築
SPring-8やSACLAといった大型放射光施設を利用した、X線顕微鏡やX線集光装置といった新たなX線光学システムの開発を行っています。
研究室で開発したX線光学素子を放射光施設のビームラインに設置するための装置設計から、試料計測のための制御システム、計測データの解析アルゴリズムの開発まで、SPring-8や理化学研究所の研究者などと共同で幅広く取り組んでいます。
X線顕微イメージングの応用
X線の短い波長を利用することで、可視光では観察困難な生物や材料の微細構造を調べることが可能になります。また、レントゲン写真の様にX線の高い透過力を利用することで、電子顕微鏡では困難な内部構造の観察を、化学状態を含めて調べることが可能になります。
生物や材料など様々な分野の研究者と共同で、X線顕微イメージングの応用研究に取り組んでいます。
大学院入学案内
本研究室には、東京大学大学院工学系研究科の物理工学専攻から入学が可能です。
入学試験に関する問い合わせは、工学系研究科の物理工学専攻教務室までお願い致します。
研究内容や見学などに関する問い合わせは随時受け付けていますので、いつでもご連絡ください。
SPring-8/SACLAや柏、本郷キャンパスの実験施設での対応も可能です。
(tkimura “at” issp.u-tokyo.ac.jp)
研究/実験施設
SPring-8/SACLA
兵庫県播磨の大型放射光施設です。学生はおよそ1,2ヶ月に一回のペースで実験に利用しています。東京大学所有の専用ビームラインであるBL07LSUのほか、X線自由電子レーザー施設SACLAを利用して、顕微イメージングなど様々なX線光学実験に取り組んでいます。
柏キャンパス
物性研究所の本部は柏キャンパスにあり、教員の居室や事務室なども所在しています。(滞在日数は現在一番少ないですが…)少しづつ環境を整備中で、簡易的なリソグラフィプロセス装置や研究居室なども立ち上げ中です。
BLOG
SPring-8での実験や学会発表など、研究活動の雰囲気を適宜お見せできればと思います。