RESEARCH

研究テーマ概要

 木村研究室では、X線の持つ優れた特性(短波長・高透過性・様々な相互作用など)を活用した、集光光学系や顕微鏡などの最先端X線光学システムを開発しています。電子ビームリソグラフィなどの微細加工技術を活用した超精密X線光学素子の作製のほか、SPring-8やSACLAといった大型放射光施設を利用したX線光学実験を主力にしています。また開発したX線光学システムを利用した応用研究(細胞イメージング・物性解析など)にも共同研究者と協力して積極的に取り組んでいます。

 以下に示す研究テーマは一例ですので、新たな世界を拓く学生のアイディアをいつでも歓迎しています。

微細加工技術を活用した
超精密X線光学素子の開発

 X線は可視光と同じ電磁波の一種ですが、可視光と比較して波長が数桁以上短く、レントゲン写真のように透過力が高いため、X線を集光したり分光させるための光学素子には、様々な工夫と極端に高い精度が求められます。
 X線光学シミュレーションを活用した新規光学素子の考案・設計、電子ビームリソグラフィなどの超精密加工技術を駆使した作製、放射光を利用した評価・実証まで、最先端のX線光学素子の開発に研究室で一貫して取り組んでいます。具体的な例としては、X線を絞り顕微鏡の分解能・感度を高めるための集光光学素子や、X線を様々な波長に分光するための回折光学素子などがあります。
 また、開発した技術の企業への移転も進めており、産学連携も積極的に行っています。

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大型放射光施設を利用した
X線光学実験

 SPring-8やSACLAといった大型放射光施設では、実験室スケールのX線光源とは桁違いに強力なX線が発振されます。また、アンジュレータというX線光源を調整することで、様々な波長のX線をシームレスを利用することが出来ます。
 研究室で作製した集光光学素子や回折光学素子が想定通りの性能を出せるか、放射光施設の優れた特性を持ったX線を利用して評価を行います。また、発振されるX線のコヒーレンスな性質を利用して、X線集光光学系の形状をナノメートル以下、オングストロームの精度で調べたりもしています。
 現在は波長が長めの軟X線での実験に注力しており、東京大学ビームラインのBL07LSUや共用ビームラインであるBL25SUほか、SACLAの軟X線自由電子レーザービームラインであるBL1を頻繁に利用しています。

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高精度X線光学素子を用いた
顕微システムの構築

 一般的な走査型、結像型のほか、計算機を利用して試料像を再構成するレンズレスイメージングなど、様々なタイプのX線顕微イメージングシステムを設計・作製・評価まで一貫して行っています。X線の全反射現象を利用したミラー光学系の技術を特に強みとしています。
 高効率・無色収差・長焦点距離といったミラー光学系の長所をフル活用し、X線吸収分光による化学状態解析や、トモグラフィによる三次元構造計測といったX線分析技術と組み合わせて、電磁波の持つ可能性を突き詰めた最先端の顕微イメージングシステムの構築を目指しています。

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X線顕微イメージングによる
生物・材料研究

 放射光の高輝度X線を利用することで、ナノメートルサイズの小さな構造やフェムト秒の短い時間スケールの反応を観察できるようになります。研究室で開発したX線顕微イメージングシステムを利用し、医学・生物・材料など様々な研究者と共同で、新たな学問的な発見を目指しています。
 例えばこの画像は哺乳類細胞を軟X線でイメージングしたものですが、可視光や電子顕微鏡では観察困難な内部の微細構造を明瞭に捉えることが出来ています。さらに図中の赤色は酸素の濃淡を示しており、核内のDNAやRNAなどに起因する酸素の分布がはっきりと分かります。
 材料解析でも同様に元素や化学状態を調べられるだけでなく、X線の偏光を利用することで、微細な磁区の構造を明らかにするといったことも可能です。

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